夏の匂いと音
入院してから四週弱。
息苦しくなって朝方こっそり窓を開けた。
朝とは言えど、夏特有のムワッとする湿度の高い空気。
排ガスが微妙に混ざり始めてるけど朝特有の匂い。
ミンミンゼミが鳴いてる。
笹目通りを通る車の音。
朝帰りっぽい浴衣を着たカップル。
そう言えば昨晩は花火の音が聞こえたな。
今年こそは、ドーン!とお腹に響くような場所で、子どもたちに花火を見せたかった。
クソ暑い中で花火みながらビールを飲みたい。
暑いねー。もう耐えらんないね!この暑さどうにかして欲しいね!と汗だくになりながら文句を言うのも、夏っぽくていいじゃない。
当たり前の日常から遠ざかると、日常の大切さを痛感する。
出来ることが出来なくなると、出来てたことのありがたみを痛感する。
いつもの日常に戻ると、この大切な気持ちをまた忘れてしまうんだろうか。
忘れたいことも忘れるし、忘れたくないことも忘れてしまう。人間の良いところでもあり、悪いところでも。
あと数週間で退院はするだろうし、半年経てば骨折したの?ってくらいに、きっと。
でも、今回の騒動はきっちりと自分に刻み込んで、一生忘れないようにね。